序章 正しい禁煙法を知ろう


現在、煙草が健康に害がないと信じている人は誰もいません。
興味本意で喫煙を始めた高校生ならいざ知らず、喫煙習慣のある大多数の人は、「自分の身体を大切にしたい」と考えているはずです。
中には、「私は煙草が大好きだ。例え肺癌で死ぬことがあっても後悔はしない」と思っている人もいるかもしれません。
しかし、そのように考えている人は少数派でしょう。
また、嗜好で煙草を吸っている人でも、自分の習慣が他人に迷惑をかけていることを知っていて、肩身の狭い思いをしている人も多いはずです。
喫煙の習慣を後悔し、禁煙を決意した経験のある人は喫煙者の半数以上にのぼるでしょう。
世の中には煙草の害を述べたHPや本は数多く存在しますが、禁煙法を書いた本は意外と少ないようです。
世間で行われている禁煙法としては、「壁に禁煙と書いた紙を貼り、喫煙したくなったらその紙を見てひたすら我慢する」と言ったやり方に代表されるような、忍耐力だけを要求するものばかりでした。
せっかく禁煙を決意したのに我慢できずに喫煙してしまい、何とも情けない気分を味わった経験を持っている人も多いのではないでしょうか?
このような失敗を続けていると、しまいには破れかぶれになり、「肺癌になったらその時のことだ。先のことまで考えていられるか」と言うような心境になってしまいます。
ひたすら我慢するだけの原始的な禁煙法以外には、ハッカパイプ・禁煙ガムなどの方法が考えられます。ハッカパイプは気を紛らわせるのが目的ですので煙草の依存性による禁断症状を押さえる力はなく、忍耐力に頼る点で原始的な禁煙法と大差ありません。
禁断症状を緩和する手段としてニコチン入りのガムを噛む方法は有望な感じがしますが、これには医師の指導が必要ですし、当然のことながらガム自体が有毒です。それに、この方法で必ず禁煙できる保証はありません。煙草の依存性はニコチンだけによるものではないからです。
喫煙に依存性がある最大の原因は、人体が一度ニコチンを取り入れると、体液中に一定濃度のニコチンを保持したがる性質が生じるためです。
この点、ニコチン入りガムは人体の要求に応えることができますが、この方法による成功率は思いの他高くありません。
喫煙の依存性には他の要因もあるからです。またこの方法では、喫煙への要求をなくすことに成功しても、ニコチンに対する要求を絶たせることはできません。
煙草の煙には発癌の直接物質ベンツピレンや猛毒の一酸化炭素が含まれていますが、ニコチン入りのガムを噛む限りこれらを吸引する害を避けることができます。
しかし、すでに述べたようにニコチン自体が有毒であることを忘れてはいけません。
有毒どころか猛毒なのです。
しかも、煙を吸引する方法ではないために、ニコチンを摂取する量が増加してしまう恐れがあります。
ニコチンの慢性中毒としては、咽頭・喉頭カタルや心臓障害・視力低下・めまい・動脈硬化などが知られていますが、肝臓に対する負担が大きく、癌を誘引する可能性も心配されます。
ニコチン入りガムに慣れてしまうと、今度はこのガムをやめるために苦労しなければならなくなります。
結局いろいろと小細工を労しても、最終的には忍耐を要求される方法に戻ってしまう感じがします。
忍耐抜きに禁煙をすることは難しそうですが、忍耐の質を変える工夫はないものでしょうか?
「ニコチンの禁断症状への我慢は苦手だけれども、その他の面倒臭い努力ならば惜しまずにやる」と言うような人もいるはずです。
そのような人に向いているのが催眠療法です。
「私は煙草が苦手だ。嫌いだ」とプロの催眠術師に暗示をかけてもらうのです。
一度や二度の施術で成功する保証はありませんが、何度も暗示を繰り返すことによってかなりの効果を期待することができます。
この方法はニコチンガムと違って基本的には安全な方法ですが、難点は、施術してくれる催眠術師の絶対数が少ないことと費用がかさむこと、暗示療法には個人差があって、人によっては絶対的な方法ではないことなどが指摘されます。
また、催眠術師の能力によっても効果に差異が生じてしまいます。
散財しただけに終わるリスクは避けることができません。
暗示をかけるだけでうまくいくのならば、自己暗示による方法はどうでしょうか?
プロに任せる方法と比較すれば、治療効果の低下は否めませんが、手軽にできることと、安上がりなことが魅力です。
この方法は検討するのに値しますが、簡己暗示の技術をどのように修得するかが問題になってきます。
自己暗示の学習法を紹介している本はいくつか存在しますが、難解なものが多く禁煙以前に自己暗示の修得で挫折してしまう恐れがあります。
もっと他に禁煙を成功させる効果的な方法はないでしょうか?
なるべくなら面倒な努力はなしにすっきりと禁煙したいものです。
実は有効な方法があります。
それは、自分の意志力で禁煙を実行する方法です。
こんなことを言えば、「何だ! そんなやりかたなら、ひたすら我慢する方法とどこが違うんだ?」
と言う苦情が聞こえてきそうです。
煙草を吸いたいのに我慢するのは意志力に他なりませんから、意志力で禁煙をするのは、ただ当たり前のことを言っているだけのように聞こえます。
しかし、充分納得して意志力で禁煙するのと、ただむやみに禁煙をするのでは実現性に大きな差が生じてしまいます。
「このHPの正体が解ったぞ。
喫煙がいかに身体に悪いかを得々と書いて、納得させようと言うんだろう。
こっちはそんなことをとっくの昔に知っているから禁煙を決意したんだ。
今さらそんな話を聞かされても仕方ない」
などと早合点しないでください。
このように思う人は「意志力」の真の意味を理解していないのです。
人間は誰しも自分の意志によって行動していますが、「意志とは何か?」とか、「意志にはどのような力があるのか?」などと言うことを真剣に考えた人は少ないはずです。
あまりにも身近な存在のため、平素は意志を意志として認識してはいないのです。
「意志力」は身体に影響を与えます。
身体を支配していると言っても過言ではありません。
この「意志力」を充分に発揮させれば、苦もなく禁煙が可能になるのです。
このHPは二部構成になっており、第一部で「意志力」とはどのようなものかを理論的に解説します。
「理論など面倒臭い。簡単にできる禁煙のやり方だけ教えろ」
と要望をなさる人も多いと思いますが、「意志力」には思考力も含まれますから、「意志力」の本質を理解することは重要となのです。
「意志力」の本質が理解できれば、それで半分以上の禁煙効果を発揮するのです。
また、「意志力」は人間の行動原理の根幹をなすものであり、実のところ禁煙などはそれのささやかな実行法にすぎません。
当たり前の話ですが、「意志力」は超能力でも特殊技能でもありません。
誰しもが生まれながらに持っている根元的な能力なのです。
この力を有効的に使えば、驚くべきことも可能になります。
ただ実態を知らなければ有効活用することができません。
このHPでは第二部で禁煙の実践法を紹介します。
それは「意志力」を有効に禁煙させる方向に発揮させるためにはどのようなことをすれば良いかと言う内容です。
意志力が本来の能力を発揮すれば禁煙など簡単に実行できるのですが、実際にそうならないのは、それを阻害している要因があるからです。
要因の一つは「意志力」に対する考え違いですが、これは第一部を精読していただくことによって解消できます。
もう一つの阻害要因は「体質」なのです。
自分の肉体が「意志力」の足を引っ張っているのです。
せっかく禁煙を決意しても挫折してしまうのは「体質」によるところが大きいのです。
禁断症状に抵抗できない体質です。
何度も禁煙に失敗して、「俺は何て情けない性格なんだ」と自己嫌悪にかられた人もいることでしょう。
しかし、これは性格の問題ではなく「体質」の問題なのです。
しかし、体質を安易に考えてはいけません。
何度も禁煙に失敗する体質は健康上重大な問題を抱えているのです。
実践編では「煙草が嫌いな体質に変えてしまう方法」を紹介します。
自分に悪いもの(肉体的にも精神的にも)を排除するシステムを活用するのです。
健康維持システム(ホメオスタシス)を利用するのです。
健康維持システムは肉体にも精神にも存在し、生命維持活動を行っています。
病気になるのはこのシステムが故障するからです。
正しい体質改善法を続けていれば、健康維持システムは改善され健康に悪いものを拒絶するようになります。
このHPで紹介する「喫煙が嫌いになる体質改善法」とは、広義の健康法・ダイエット法と言うことになります。
現在、我が国は健康ブーム・ダイエットブームで、これらを紹介した本は星の数ほど存在します。
健康やダイエットの本なら何でも良いかと言うと、中にはいい加減な本が多く見られるのは残念なことです。
芸能人の書いた本や週刊誌・健康雑誌で良く見かけるある特定の食事を継続させたり、特殊な体操を繰り返させたりする方法は、「誰にもできる手軽な方法」と言うのがセールスポイントですが、健康も禁煙も単純な方法では得られないと言う常識を忘れないようにしたいものです。
このHPで紹介する体質改善法は単純なものではありませんから、実行するためにはそれなりの努力が必要です。
しかし、この努力をすることによって、禁煙に成功するばかりか、精神と肉体の健康を得ることができるのです。
禁煙は心と肉体の健康を回復する第一歩です。
ぜひ成功させましょう。
注: 文字用の領域がありません!

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