Q57

水の汚染はどのようになっているのですか?

     A

水道水の劣化現象は毎年はなはだしくなっています。
取水している水源が確実に汚染しているのですから仕方ありません。
それに加えて、産業用水の需要や、人口の増加によって、本来水源としては不適切な水にまで手をつけなければならない状況もあります。
昔から水道の水はまずいものとされてきましたが、それと対照的な存在だった井戸水や地下水も汚染しています。
産業排水や農薬の残留物が地下にしみこんで地下水を汚染している状況です。
かつて政府が「名水百選」と言う企画をしたことがありました。
日本各地で「名水」と称されている湧き水を特定に地域に片寄らないよう政治的配慮を加えて百カ所選んだものですが、その水の成分を調べてみたら、飲める水は全体の3割もありませんでした。
残りは人体に有毒な成分を含んでいる水でした。
まがりなりにも「名水」と言われている以上、かつては安全な水だったのでしょうが、それが現在では無残な状態に汚染されているのです。
これら「名水」は比較的都会を離れた山間部にありますが、そんなところにある水がなぜ汚染してしまったかと言うと、ゴルフ場の影響が大きいようです。
日本の環境でグリーンを常に維持するためには莫大な農薬の散布を必要とします。
散布した後の排水は当然たれ流しです。
近くに水脈があり、「名水」が下流域にあれば汚染は簡単に起こります。
「足尾鉱毒件」「水俣病」「イタイイタイ病」など数々の公害事件は深刻な社会問題として、マスコミでも大々的に報道されました。
日本人は工場廃液がどんなに有害かを身をもって知っているはずなのですが、よほど「水に流す」のが好きな国民性なのか、たれ流し公害はその後も大して改善されていません。クリーニング工場もドライクリーニングの排水をたれ流して地下水を汚染していきます。この廃液は地中の奥深くへ浸透する性質があるので、一度汚染されてしまえば、どんなに深い地下水でも数年後には確実に汚染されてしまいます。半導体工場から出す工業排水も新たな汚染源として注目されています。
庶民は土地が暴騰しきってしまった都会には住むことはできず、やむなく職場から数十キロも離れた新興住宅地に住居を求めますが、そのような場所のほとんどは急増の乱開発による宅地で、下水などはまずありません。
大手の企業による大規模開発地ならば下水は完備していますが、そのような宅地はかなり田舎の場所にあっても、庶民の手の届く値段ではないようです。
ミニ開発の住宅では、家庭排水はたれ流しになります。
合併浄化槽を設置している住宅は良心的なほうです。
家庭排水と言っても、中性洗剤や油類・防虫剤・防カビ剤・塩素系漂白剤など化学工場顔負けの排水が流出します。
それらが近くの農業用水や一般河川に流れ込み環境破壊を起こします。
水道もないようなミニ開発地に住居をかまえれば、悲劇以外の何ものでもありません。
当然水源は井戸に求めなければなりませんが、自らまいた毒を再び飲む結果になります。特にひどい例としては、自分の宅地がかつての産業廃棄物置き場の上だったなどと言うこともあります。
そこが井戸水を使用していた場合おぞましい結果が待っています。
このような話が冗談ではないところが日本の現状なのです。

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