Q2

煙草のタールに含まれているベンツピレンは思われているほど害はないと言う人がいますが本当ですか?


 A

喫煙で最も心配される健康面のリスクは肺癌です。
この癌は、中でもとりわけ発見が困難で治癒率も低いものとして知られています。
禁煙を決意する人の最大の理由は肺癌に対する恐怖からです。
煙草の成分の中にはさまざまな発癌成分があると言われていますが、その代表的な物質がベンツピレンです。
ベンツピレンは煙草だけの専売特許ではなく、汚染された大気や食品を調理した際のおこげにも存在します。
何も喫煙をしなくても、日常生活を営んでいるだけで私たちは一定量のベンツビレンを吸収してしまうリスクを避けることはできません。
ベンツピレンに限らず、私たちのに非常生活にはさまざまな汚染物質が取り巻いています。
その中には数多くの発癌物質が存在します。
一例はディーゼル車の排気ガス。
あの廃棄口から黒煙をまき散らす様子を見て不快に思った人も多いでしょう。
あのガスをまともに吸い込んだら煙草を数十本吸った以上の肺癌リスクがありそうです。加工食品に含まれている発癌物質もひどいものです。
防腐剤・化学調味料・合成色素・酸化防止剤など、これでもかと言うほど入っています。野菜や果物、穀物・肉に至るまで現在では農薬に汚染されています。
また、水道水にはトリハロメタンなど、ベンツピレン以上の発癌物質が含まれています。このような事情を考えると、今さら煙草の一本やニ本を吸おうが吸うまいが身体には関係ないような観があります。
これだけ発癌性のある汚染物質に取り囲まれていたら、「癌になるのはもう運不運の問題で、なってしまえば仕方がないと諦めるしかないのではないか」と言う理屈になります。また、ベンツピレン自体有害な物質であることは明らかですが、肺癌の因果関係は一般に思われているほど明確ではありません。
統計学的に喫煙者には肺癌者が多く、その原因としてベンツピレンが取りざたされているだけで、ベンツピレンが確実に発癌をうながす直接的な証拠はありません。
喫煙常習者にも発癌しない人は大勢いるわけです。
また、癌には遺伝的な要素もあると言われ、「近親者に癌患者がいなければ、喫煙しても肺癌になるリスクは少ない」とも考えられます。
人間の免疫組織の中には、発癌物質に対抗する物質を取り込むことによって、無毒化を行う機能があります。
どんな人間でも発癌物質を全く摂取せずに生活することは不可能です。
にもかかわらず、人間のすべてが発癌しないのは、免疫システムが有効に働いて、発癌を防いだり、癌化した細胞を除去したりしているからです。
このシステムの弱い人や欠陥のある人が発癌してしまうのです。
このようなことを述べると、喫煙者は楽観化してしまうかもしれませんが、自分自身が癌に対して免疫力が強いか弱いかを簡単に見極めることはできません。
近親者に癌患者の多い人は遺伝的に抗癌免疫力が弱いことは確かですが、そうでない人は免疫力が強いとは言えません。
現在の医学水準では免疫力を測定する技術がないのです。
白血球数や抗体を調べる方法はありますが、一部の癌を除いてそれが有効かどうかの決め手とはなりません。
また、免疫力は先天的要素よりも後天的な要素が強く働き、生活環境や食物によって大きく変化します。
環境が悪ければ、発癌のリスクは当然高くなります。
喫煙は確実に免疫力を低下させる行為なのです。

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