Q4

喫煙を続けていると肺が真っ黒になると言うのは本当ですか?

     A
 
喫煙と言うと、どうしても肺癌のイメージがつきまといます。
禁煙キャンペーンの一環として喫煙者の肺と非喫煙者の肺の比較写真を載せたポスターがあります。
見た方も多いでしょう。
非喫煙者の肺はきれいなピンク色をしているのに、喫煙者の肺はコールタールをぶちまけたようで見るも無惨な様相をしています。
確かに喫煙をしていると、吐く痰は茶色くねばっこいし、歯には汚いヤニがくっつきます。
煙草のフィルターにも茶色いヤニが溜まるし、「当然俺の肺もヤニで真っ黒になっているんだろうなあ」 と、妙に納得してしまいます。
あれだけ肺がヤニだらけになってしまえば、いつ肺癌になってもおかしくない感じがします。
しかし、実はあの写真は禁煙を促進させるためのいささか勇み足をしているのです。
非喫煙者の肺の写真は汚染されていない環境化で事故死した少女の肺の写真だそうで、なるほどとうなずけます。
きれいな空気ばかりを吸っていた若い肺ならばピンク色をしていて当然です。
問題なのは喫煙者の肺です。
あの肺は汚染された環境化で死んだ老人の肺です。
空気が汚ければ喫煙の有無を問わず肺は汚れてしまいます。
また、若者と老人を比較すれば老人の方が汚い肺であってもやむをえません。
要するに、あの二つの肺の写真は比較対照できるものではないのです。
もし、比較対照するのでしたら、同一条件で喫煙・非喫煙の有無だけの異なる写真を呈示しなければなりません。
喫煙をすれば肺が汚れることは確かですが、肺が汚れる原因はそればかりではありません。
喫煙をしていなくても、ディーゼルカーの運転手や鉱山労働者、煙のそばでの労働を強いられている人の肺は、一般の人と比較して汚染が進んでいることは確かです。
また、肺の見た目の黒さと健康とも直接的には比例関係にはありません。
肺には大量の食細胞が存在し、肺細胞を保護するために侵入してきた汚染物質を飲み込みます。
肺の見た目の黒さは、肺が汚染物質によって直接的にダメージを受けているわけではなく、食細胞が汚染物質を取り囲んだ結果黒くなっているのです。
だからと言って、いくら黒い肺でも良い理屈にはなりません。
食細胞のお世話にならないに越したことはないからです。
細胞分裂の活発な若者の肺ならば、たとえ喫煙していてもそれほど黒く汚染されていないかもしれません。
それならば若い内ならいくら喫煙しても平気かと言うわけにもいけません。
癌化は見た目と関係なく進行するのでやっかいなのです。

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