Q62

輸入農作物による農薬汚染とはどのような問題ですか?

     A

農薬使用量で考えると、日本は世界で最も単位面積あたりの農薬使用量の多い国ですが、出荷二週間前には農薬の使用を中止する原則があります。
この原則が確実に守られている保証はありませんが、生物には体内に入りこんだ毒素を吐き出す能力がありますから、わずか二週間でも、ある程度の農薬は排出されます。
ただし表面にくっついている農薬はその限りではありません。
輸入農作物がなぜ危ないのかと言うと、輸送の時に問題があるからです。
農作物が作られる過程でも、最近の農産物輸出国は日本顔負けに農薬を使っています。
日本の農薬会社が売りこんだ物が大半なので自業自得のところはありますが、中には毒性が強いために日本では使用禁止になった農薬まで含まれています。
発展途上国の農業管理体制は日本に輪をかけて無責任なケースが多いのが現状です。
その問題はさておき、決定的に深刻な問題は輸出する時にポストハーベスト農薬が使用されることです。
この問題は識者の間では常識になっていますが、一般に知られていないには残念なことです。
もっとも、この知識が普及すれば、誰も輸入農作物など食べようとしなくなり、日本の食料事情に大変化が起きてしまうことでしょう。
日本は島国なので輸入食料品の大半は船で運搬されますが、その間に食料品が変質してしまっては商品価値がなくなります。
そこで、商品価値を維持する努力がされるのですが、冷凍にしてしまえば良いのですが、それだとコストがかかります。
そこで、まず食品の変質を防止する薬剤が与えられることになります。
第一に使用されるのが防腐剤です。これは細菌やウイルスの繁殖を抑える薬効があります。
抗生物質やサルファ剤などがこれに当たります。
最近流行している抗菌商品は表面にサルファ剤を塗りつけたものです。
次にカビを防がなければなりません。
そこで防カビ剤が使用されます。
防カビ剤はカビの種類によって効能が違うので、数種類散布されることになります。
その次が害虫対策です。
食品に虫がわいたのでは検疫に通りません。
そこで各種の殺虫剤がまかれることになります。
船には鼠が付きものです。
そこで殺鼠剤が使用されます。
もっとも、これは食品に直接はまかれないでしょう。
これら農薬の中で、大きな個体を駆除する目的で使われるものほど毒性が強くなります。殺鼠剤は別格として、殺虫剤が最も強い毒性を持つことになります。
殺虫剤の中でもやはり大きな虫を殺すものほど毒性が強くなります。
蚊取り線香よりもゴキブリ用エアゾルのほうが毒性が強いことになります。
ポストハーベスト農薬とは直接関係ありませんが、除草剤も強力な毒性を持っています。特にジャガ芋などでは、収穫する時に除草剤で地上部分を枯らしてから掘り返す方法が一般的ですから、芋の内部にはむちゃくちゃな量の農薬が残っています。
しかもご丁寧に、芽が出ないように薬品処理をしたり、放射線を浴びせたりしています。このやり方は国産品・輸入物を問わず行われています。
殺虫剤が猛毒であることは言うまでもありませんが、防カビ剤の毒性もそうとうなものです。
カビ自体に毒性があるので痛しかゆしの所もあります。
人体にカビが生えた場合やむなく防カビ剤を使いますが、当然劇薬扱いです。
やむをえない症状の患者でなければ医者は処方しないでしょう。
ところがポストハーベスト農薬ではこれが常識のように使用されています。
殺菌剤としてはクン蒸が安上がりなのでこの方法が広く用いられていますが、クン蒸剤も人体に有害な物であることは間違いありません。
輸入農産物にはこのような毒性の高いポストハーベスト農薬がこってり塗りたくられています。
そして、検疫ではフリーパス状態で通過してしまいます。
輸入農産物の最大輸出国はアメリカであり、アメリカは利益を追求するあまり、自国では禁止しているような危険な農薬まで輸出用には許可して外国に売りつけています。
当初は日本政府も、農協の圧力もあったことでしょうが、国民の健康を防衛する意識が少しはあったようで、輸入に消極的な態度を取っていたのですが、アメリカの脅しに屈服し、なし崩し的に輸入を認めてしまいました。

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