No14
同じ人間の中に人格はいくつもある
「幼女連続殺人事件」の被告Mが多重人格者 なのではないかと話題になったことがありまし
た。
「多重人格」という症状は、無意識の中にいく つもの人格が作られ、それらが「独立」もしくは
「半独立」した状態で意識に現れてくる病気で す。
「独立」というのは、一つの意識が現れて人格 を作っている時、他の人格が無意識下にひそ
んでいる状態です。
「半独立」とは、一つの人格が主導権をにぎり ながらも別の人格を確認してしまう状態のこと
です。
「人格」とは無意識から現れた意識の自己認 識にほかなりませんから、これを「複数」と認
識してしまえば、「多重人格」となり、「同1」と 認識すれば「正常」ということになります
ところで、「幼女連続殺人事件」のMの例でも わかるように、「多重人格」には犯罪者の人格
を持っているケースがあり、それがニュースや 小説などで、好奇に取りあつかわれたりします
。
この場合、この患者はそれぞれの人格に合わ せて善悪の判断システムを持っていたことに
なります。
「多重人格」と「正常」とは自己認識の差でし かありません。
無意識の中には数10から数100レベルの人格 を作り出すキャパシティがあります。
「正常」の場合であっても、「意識にのぼらない 人格」はいくつもあると考えられます。
そして、それぞれの人格ごとに独立した判断 システムが働いているのです。
「名優」といわれる人たちは訓練と才能によっ て、役にふさわしい人格を無意識から呼び起
こして、「正常」の範囲内で別の人格になりき る能力を持っています。