No41
知的生命体はすべての要素を人工的に作る ことができる
高度に発達した宇宙人が、タンパク質ででき た自分の肉体にこだわるでしょうか?
より高い機能を追求すれば、進んで人工的な ものに取って代えるはずです。
このような説明をすると、宇宙人は金属で作ら れたごついロボットのような姿を想像するかも
知れませんが、おそらくそのような宇宙人はい ないでしょう。
機械といえば、つい最近まで金属以外では作 られませんでしたが、高分子化学の進歩ととも
にプラスチック製品が増えてきました。
さらにはプラスチックに代わって、より有機的な 製品も登場しています。
有機物によるモーターなどの研究もなされてい ます。
有機物のほうが、微細な加工がしやすく小型 軽量化でき、消費電力も少なくて済みます。
コンピューターの素材にはうってつけなのです 。
そのような人工有機物でできた宇宙人は見か け上人類と変わるところがないかもしれません
。
「そんな身体になったら、飯を喰ったりセックス したりする楽しみがなくなるじゃないか?
快楽が追求できなくなったら生きていても仕方 がない」
このような心配をする人がいるかもしれません が、感覚的な快楽の追求は比較的容易に実
現できます。
実際に麻薬などの薬物で快楽は体験できます し、それと同じ快楽の感覚を、脳に対する電気
信号にして置き換えることもできます。
感覚を電気的にコントロールできれば、快感を 得るなどということは簡単なことなのです
「そんなまやかしではなく、実際に体験しなけ れば満足できない」
こう考える人がいるかもしれませんが、この考 えはエゴイズムに基づくものです。
進歩した知性体ならば、簡単に克服可能です 。
以上のことを考えると、精神を構成するものは 電気的回路の状態で表現できるということに
なります。
その電気的回路のコピーは可能です。
これは増殖行為にあたります。
電気的回路は、技術的には人間の脳よりも少 ない容積で作り上げることができます。
そこから電波を飛ばし、肉体に相当する機関 に命令を与えればこと足ります。
その機関は、「精神」に対して的確な情報伝達 ができれば、どんな形であってもかまいません
。
「精神」同士を互いに連結すれば、より高度な 活動をすることができるようになります。
コンピューターネットワークを想像すればたや すくわかることがらです。
「精神」がその活動範囲を認識した状態が「自 分」ですが、回路を増設によって、自分の範囲
を拡大できますし、他の「精神」と合体すること もできます。
これまでの話を整理すると次のようになります 。
「宇宙人は、その初期の姿はタンパク質によ る生命が進化した状態と考えられるが、ある
程度進化すると、その機能を人工物に代替さ せてゆき、最終的にはすべてが人工物によっ
て構成されるようになる。
この段階で、純粋な精神とそれを補佐する機 能とに分割される」
さらに進化するとどのようになるでしょうか?す でに前章で、「物質の実態は波動の状態であ
る」と定義しましたが、進化した状態では、波 動を物質に置き換えて知覚するよりも、波動を
波動そのものとして知覚したほうが合理的で あることに気づくはずです。
つまり、「精神」は物質のしがらみを離れて、純 粋なエネルギー体として存在するようになると
いうことです。
物質の制約を離れてしまえば、精神は必要に 応じて宇宙のいたるところに遍在することが可
能になります。
このような状態になった「精神」の進化の方向 は、「自分」の拡大と、構造の緻密化です。
もし、「精神」の拡大速度が光速よりも速けれ ば、すでにこの進化の極限に達した「精神」が
超宇宙全体を覆っている可能性があります。