No47

人間は霊をどのようにあつかうか?

霊のイメージとして、近親者の霊は自分に対し て悪意がないことが多いので、自分への影響 も、「保護する」形で現れると考えられています 。

これを拡大解釈すると、その一族に功績のあ った英雄なども含まれます。

「彼らを祭ることによって、自分に対して何らか の利益が得られる」

という発想が生まれ、英雄は神として崇拝され ることになります。

逆に、自分に対して明らかに悪意がある者が 死んだ場合は、「たたる」と考えます。

その場合何らかの対抗手段を考えないと、わ が身や一族に不利益が生じてしまいます。

この場合の対策には二通りあります。

一つは硬派的発想で、たたる悪霊よりも強力 な善霊に保護してもらい、さらには悪霊を退治 してもらうという手段です。

この場合悪霊は徹底的におとしめられ、邪悪 な存在であることが強調されます。


小ものの場合は「幽霊」ですし、「妖怪」「魔物」 などとも呼ばれ、大ものになると、「悪魔」「悪 神」になります

これらのイメージが多く存在するのは、人間社 会では対人関係のストレスが多く、敵と思われ る人間の脅威にいつもさらされていることを物 語っています。

もう一つの方法は、何とか悪霊の機嫌を取り、 仲直りをはかる方法です。

自分の否を認め、ひたすら陳謝する場合もあ りますし、相手の霊格を向上させて、「たたる」 などという低次元の発想法を放棄してもらう場 合もあります。

「幽霊」程度でしたら、坊さんに頼んで、成仏さ せればよいし、より強力にたたる存在ならば「 神様」として祭ればよいわけです。

一般的に遊牧民族系の文化集団では硬派的 発想を採るケースが多く、農耕民族系の文化 集団ではおだやかな発想を選ぶケースが多い ようです。

文化の違いにかかわらず、霊に対して意識が 働くということは、無意識の働きかけがあるか らと考えられますが、無意識はどこで霊に対す る情報を仕入れたのでしょうか?

これを考えると、人類は現在の精神を手に入 れるプロセスで、霊と出会う機会があったとい うことになります。

その情報は種を保存する上で重要な要素だっ たので、無意識の回路に書き込まれ、先天的 に受け継がれたと考えるべきでしょう。

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