これは例えば、空き地に住宅を建てようとする時、金と暇さえあれば、人は思いのままどのようにでも建てることができる
 けれども、空中には絶対建てることができないのと同じようなものだ。

 宇宙知識を求める者も、このように世の人達の霊格を完成させるために、進んで宇宙を建設する
 だが、その場所は空中のような世の人と関わりの無いところじゃだめだということだ。

 さて君達は、私がこれから言うことをよくわかってくれなきゃ困るよ。

 宇宙を進化させるということは、覚者を誕生させることだ。
 君達の中から宇宙の英知にかなう精神状態に到達する者が出現した時、宇宙はさらなる進化を遂げたことになるんだ。

 その精神状態とはいろいろあるが、一つは『綺麗な心』だね。
 これを広めることが宇宙を進化させたことになるんだ。
 これを完成した人が覚者になる時がくれば、宇宙の中に嘘偽りの無いフィールドが誕生したことになる。 
          
 同じように、
『一つの道を極めようとする心』
『宇宙知識を求めて世の人を救おうとする心』
『自覚への導きを目指す心』
『全ての恩恵を他者に振り向けて与える心』
 などの精神を完成させた人も宇宙進化に貢献するんだ。 

 君達の行動も重要な要素なんだよ。
『規則を守ること』これだって大切だ。
 これをできる人が覚者になれば『合理的進化の道』をやり遂げるフィールドが誕生したことになるんだ」
 
 この覚者とボランティア霊達とのやり取りを、最前列で熱心に聞いていた一般聴衆の青年が質問した。

「尊師、その『合理的進化の道』とはどのようなことですか?」

 尊師の説法の途中で邪魔をすることは非礼に当たったので、周囲の者は青年に非難の視線を送った。
 しかし、青年は自分の向学心に捉われて意に介さない様子だった。

 ゴータマ師は青年に向かって穏やかに話した。

「『合理的進化の道』とは『進化を合理的に行なうための手段』という意味だ。
 全部で十あるけれども、全てもう君が知っていることばかりなんだよ。
 つまり、
『生物をむやみに殺さない。
 盗みをしない。
 やたらとセックスしない。
 嘘をつかない。
 二枚舌を使わない。
 悪口を言わない。
 無駄口をたたかない。
 欲張らない。
 怒らない。
自分勝手なことをしない』
 ということなんだ」

 青年は納得して拝礼した。ゴータマ師は説法を再開した。

「『よく堪え忍ぶこと』、これも大事だね。
これをできる人が覚者になれば、覚者の身体的特徴を備えたフィールドが誕生したことになる。

 同じように、『よく勤め励むこと』『心静かに瞑想すること』『根本能力』などを極めた人が顕れることも重要なことなんだ。

『誰にでも無差別に恵みを与るボランティア活動』も大切だ。
 これをやった人が覚者になれば、このボランティアの楽しみを与え、苦悩を除き、人の楽しみを見て喜び、どんな人にも平等に接する心を完成したフィールドが誕生したことになる。

『世の人に宇宙知識を教え、優しい言葉をかけ、利益を与え、苦楽をともにしてやる方法』
 このやりかたでも同じ結果が得られる。
『巧みな手段を使うこと』も重要だ。
 これができる人が覚者になれば、どんなものに対しても妨害されることなく宇宙知識を説くことのできるフィールドが誕生したことになる。

 ところで、今日は特にまだ初心の諸君のために、覚者になるための基本能力を手に入れるのに必要な三十七種類のステップを説明しておこう。
 すでにわかっている諸君は初心に還って復習してもらいたい。

 最初のステップは四種類のイメージを頭の中に固定することだけれども、これはそんなに難しいことではないから心配はいらないよ。

つまり、
『肉体の本質は不浄であると思うこと。
 感覚の基本は苦の知覚であると思うこと。
 自分の心の本質は無であると思うこと。
 存在するものは自分ではないと思うこと』
 ということだ。

 これができたら、次は正確な行動をするための四種類の努力をすることだ。

『悪いと思ったことは絶対にしないこと。
 悪いことをしたと気付いたらすぐやめること。
 正しいと思ったことは必ず実行する。
 良いことをしたらそれを続ける努力をすること』

 今度は基本的な個人能力を養うための四種類の方法を訓練することになる。

『自分の達成したい目標を宇宙知識に対して祈ること。
それが達成できるように努力すること。
達成した状態を心に念じること。
精神統一して自分のイメージを宇宙知識に伝えること』

 これができると、いよいよ本格的な訓練だ。
 今度は宇宙エネルギーを作用させる能力を開発する五種類の訓練法を行なうわけだ。

『宇宙エネルギーの存在を信じること。
 信じる訓練を持続させること。
 心の内面に意識を送り込むこと。
 心の奥にある宇宙エネルギーの存在する場所を発見すること。
 そのエネルギーを自分の意識に取り込む技術を学ぶこと』
 ということになる。

 この『技術』とは知恵の完成に必要な七種類の能力を開発することだ。
 すなわち、
『記憶した内容を忘れなくする能力。
 物事の真偽を見極める能力。
 正しい知識を理解する能力。
 正しい知識を理解することによって宇宙エネルギーを体内に取り込む能力。
 常時リラックスできる能力。
 自分の意識を消滅する能力。
 意識と無意識のバランスを保つ能力』という内容だ。

 最後は宇宙知識を正確に理解する八種類の能力を開発するステップについてだ。
 すなわち、
『正確に判断する訓練。
 正確に考える訓練。
 正確に喋る訓練。
 正確に行動する訓練。
 正確に日常を送る訓練。
 正確に努力する訓練。
 正確な考えを続ける訓練。
 正確な瞑想をする訓練』
 ということになる。

 以上の能力をマスターすることによって覚者が誕生する。

 最後の方の訓練は民間の人ではちょっと厳しいかもしれないな。
中には熟練者の補助がないと難しい訓練もあるから、もっと詳しいことを知りたい人は、後で教団の関係者に質問してくれ。

 それでは話を元に戻そう。
『知恵の完成を妨げる八つの障害を除く方法を民衆に教えてやること』
 これも大切なことだ。これをマスターした人が現われたら、そのフィールドには、罪の報いによって導かれる三種類の収監星や八つの苦難はなくなる」

 ここまで話して、ゴータマ師は聴衆の表情を伺った。
 ボランティア霊達はおおいに納得している様子だったが、先ほど質問した青年を始め多くの聴衆は不安な表情をしていた。
 彼らは師の教えを聴いてから日が浅かったので、三種類の収監惑星と八つの苦難というゴータマ教団の基本教理に対する知識がなかったのだった。
 先程質問した青年も今度はばつが悪そうに黙っていた。

 そこでゴータマ師は彼らのために説明してやった。

「今私が言ったことがわからない人もいるようだからもう少し詳しく話そう。

 三種類の収監惑星とは、ナーラカ星・プレータ星・ティリヤンチ星のことで、このサハー銀河内で霊格を低下させてしまった者達が行く星なんだ。
 一種の病院みたいなものと思いなさい。
 ある程度霊格が回復するまではそこから出れないから、一度そこへ行くとやっかいなことになる。
 症状の違いによってどの星に行くかが決まってくる。どこに送るかを判断するのはヤーマという保護司さんだ。

 ナーラカ星にはエゴイズムに凝り固まって中毒状態になってしまった者が行く。一番重症の患者だね。
 プレータ星には物質に執着しすぎた者が行く。
 ティリヤンチ星には無気力な者が行く。症状は大したことないけれども本人が自分の病状を自覚しにくいから、実に治りにくい。
 いずれの空間の患者も治ったらもう一度別の空間に生まれてやり直しだ。ご苦労さんなことだね。

写真提供

ネパール政府
インド政府観光局
NASA

その他




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