『はい、残念だったね。そこで君は間違えている。
うれしく思うのは大いに結構だ。しかし、本質を外しては駄目だ。
迷える未熟者達の存在は君にとって貴重な修行場なんだ。 君はそこで修行できたことに対して喜ぶべきなんだよ。
君は本当は血筋が良いんだよ。原初宇宙知識直系の霊体なんだ。
だから君はもっと親のことに通じていなければならない。 先輩として教えてやろう。いいかね。
君はまだ自分の行なったボランティア活動にこだわりの心を持っている。
それは、君の心にまだ曇りが残っているからだ。 だから結果を気にするんだよ。
心が透明になれば、感謝など期待しないものだ』
このように言って先輩は去っていきました。 どうも私は先輩ほど遠くを見通す目を持っていないようです。
ですから、先輩の病気を治療するなど私にできるわけはありません」
そこでゴータマ師はボランティア霊のジャガティンダラにヴィマラキールティの治療をするように言った。
しかし彼も断った。 「覚者よ。私も、彼の治療など不可能です。
なぜかと申しますと、今から三年ほど前、自分の担当の惑星にいた時の事を思い起こすものですから。
その時、パーピヤス星人が大型宇宙船で千二百人の娘達を従えてやって来ました。
その時、彼はインドラをしているシャクラ星のカウシカ霊に変装しており、私のもとにやってきて挨拶しました。
お恥ずかしいことに、その時私は彼の正体を見破ることができず、カウシカ司令だと思い込んでいましたから、こんなことを話してしまいました。
『よくいらっしゃいました。カウシカ司令。お久しぶりですね。今日はどのようなご用件で入らしたのですか?』
するとすぐ、私に向かって、 『ボランティア霊さん。この千二百人の娘達をプレゼントしますから、どうかご自由にお使いください。
皆シャクラ星生まれの別嬪ぞろいですよ。 私の使い古しは一人もいません。皆ヴァージンですが、男性を楽します方法は充分に躾けてあります』
と言ってきました。 娘達は体を極端に露出させたり、素肌にほとんど透明のローブを纏ったりしており、楽器を持った娘達は妖艶な音楽を奏でていました。
楽器を持っていない娘達は音楽に合わせて腰をくねらせたりしております。
娘達は性欲を刺激する香水を大量につけており、不覚にも、私の男性部分も反応してしまいました。
カウシカ氏が大変な艶福家であることは承知していましたが、まさか私などにこのような申し出をしてくるとは思いもよりませんでしたので、驚き少々面食らいました。
『せっかくの申し出はありがたいのですが、この娘達をいただいても、私にできることはありません。
それよりも、あなたはどうして私などにこのようなプレゼントをする気になったのですか?』
すると彼は、とりわけ綺麗な娘を数人抱き寄せて、 『性エネルギーこそ最も純粋なエネルギーだからです。
ヨーガ行をするとき、クンダリニー(体内にある霊エネルギー)を上昇させる根本エネルギーは性エネルギーであることを知っていますね。
ねえ、ボランティア霊さん。 この娘達はエネルギーの缶詰なんですよ。
一人一人が莫大な性エネルギーを持っています。 あなたもボランティア活動をする際に大変エネルギーを消耗してしまうでしょう。
あなたの活動をより発展させるためにも、効率のよいエネルギーの補給法を考えるべきなのではありませんか?
勿論霊格の低い人には危険なやり方ですが、あなたほどの人ならば心配することはないでしょう。』
と言いました。
『しかし、娘さん達の気持ちを考えると……』と私が躊躇しますと、
『何をおっしゃいます。ここにいる娘達も全員が志願者なんですよ。
全員本人の意志であなたに愛されたいと望んでいるのです。 あなたのお役に立つことで奉仕できれば、これほどうれしいことはないと申しております。
あなたの奉仕をすることで実体の世界に近づくことができるからです。
お前達その通りだな?』
と言って、彼が娘達の方を見やると、彼女らは一斉に頷いて、 『ボランティア霊様。お願いでございます。何とぞ、私どもの大願を成就させてください』
と哀願してきました。
私が困っていると、ヴィマラキールティ霊やってきて、私に向かって、
『ジャガティンダラさん。あなたはそこで何やってるんですか!
この人はカウシカ司令じゃありません。パーピヤス星のマーラ霊の配下の人ですよ。
あなたをたぶらかそうとしているのです』 と言いました。
どうも変だなと思っておりましたので、あっそうだったのかと私はそこで初めて事態に気付きました。
正体を見破られたパーピヤス星人もドキッとしたようです。
ヴィマラキールティさんはうろたえているパーピヤス星人に言いました。
『せっかく、くれると言うのだから、代わりに私がこのお嬢さん達をいただきましょう。
こう見えても私はテクニックに自信がありますよ。ジャガティンダラさんよりも上手に可愛がってあげましょう』
パーピヤス星人はカウシカ司令の変装のまま黙っていました。 娘達は、何をされるのかとすっかり怯えている様子でした。
『ジャガティンダラさん。あなたはこのお嬢さんをほしくはないでしょう?』
彼は今度は私に話し掛けたので、私は、『えっ、はい、どうぞ』と少し間抜けな返事をしてしまいました。
パーピヤス星人はからかうつもりで来たのが、逆にからかわれる立場になり、逃げ出す決心したようでした。
娘達に合図を送り、宇宙船に逃げ込もうとしたのですが、全員金縛りに遭って動けません。
ヴィマラキールティさんの念力によるものです。勿論私も加勢しました。
部下の失敗を見てマーラ霊も諦めた様子でした。テレパシーを使って、
『君、もういいよ。ご苦労だったね。娘達をヴィマラキールティ氏に譲って、釈放されておいで』
と指示を送ってきました。
パーピヤス星人は真っ青な表情になって本性に戻りました。
そして、やはり本性に戻った娘達に合図を送り、ヴィマラキールティさんに引き渡しました。
ヴィマラキールティさんは、にっこり笑って、金縛りを解き、 『どうもプレゼントをありがとう。マーラ先生によろしくお伝えください』
と慇懃に礼を述べました。 パーピヤス星人はぎこちない足取りでたった一人宇宙船に戻り出航していきました。
屈辱感よりもマーラ霊に受けるであろう制裁を恐れていることは容易に推察できました。彼としても任務でやったことですから同情の念を抱かざるを得ません。
本性に戻ってパーピヤス星人の姿を顕した娘達は変装している時以上の美女ぞろいでした。
パーピヤス星は美女の産地として有名ですから当然です。
しかし、自分たちの運命を知らない娘達は不安な表情を浮かべています。
その時、ヴィマラキールティさんは娘達に向かってこう言いました。
『さあ、見ての通り、君達は今から私のものになった。これから楽しいことをしよう。大いに期待していいよ』
代表格と思われる理知的な表情をした娘がはにかみながら質問した。
『新しいご主人様は私達にどんなことをさせて楽しむおつもりなんですか?』
『勿論、宇宙と合体する楽しみを味わってもらうのさ。これに勝る楽しみなどないだろう』
すると娘は少し軽蔑の表情を浮かべて尋ねました。 『宇宙知識というのはこの宇宙の大霊のことでしょう?』
『宇宙に、この宇宙もあの宇宙もないはずだがね』
『マーラ様は、この宇宙の大霊は人々から喜びのエネルギーを奪って食べてしまう悪い存在だから、人々を解放し救済するために戦わなければならないとおっしゃっていました』
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